福聚山大慈寺ふくじゅさんだいじじ

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絵伝逸話その8


その8 瓢箪から酒  


大慈寺住職 吉田隆法







静岡県三島市郊外に如来寺という寺があります。
西有穆山禅師が三十五才の頃の事です。

如来寺を改築修繕し、恩師月潭老人を開山として、
自分は中興二世になっております。

禅師に師事し、後に大本山総持寺第七代貫主になられた、
秋野孝道師が「穆山禅師の活面目」と題して
禅師の思い出を語られています。 

其中の「箱根の険を越えて月潭の教を乞う」
三島市郊外の住職地如来寺(三十五歳頃)から、
小田原の海蔵寺月潭老人の所に通った折の禅師の話として
述べられております。

穆山禅師の姿が彷彿いたします。全文を挙げてみます。

「あの箱根の山を越えて月潭和尚の所に往って
本を聴いたものだが、朝、夜が明けない中に出立して往く、
それから彼方に午後の三四時位迄居って、それを聴いて、
帰りには箱根の絶頂まで駆け登る、
そうすると薄暗くなって来ることが度々あった。

それからあの時分には酒が少し好きであったものだから、
何でも箱根を駆け下りて如来寺と云う寺に往って、
喉が渇いて居るから一杯やろうと思って、
途中で瓢箪に酒を買って、
上手巾の紐に着けて箱根を駆け下りたことが度々あった。

ある時の事、三島の宿まで駆け下りて寺までは少しあるけれども、
喉が渇いたから酒を飲もうと思って瓢箪を取ると、
紐が切れて、其瓢箪を石の上に落として仕舞った。

酒が好きでおまけに喉が渇いては居るし、
疲労れては居るし、サァ飲もうと思って出すと、
ピシャツと砕けて仕舞った。其時ほど力を落としことはない」

 と云うお話が度々あった。

瓢箪を砕いた事より、三島の如来寺から往復約六十キロの
険しい箱根越えて、月潭和尚の提唱を聴こうと、
毎日小田原の海蔵寺まで歩いて通った事に、
穆山禅師の精神力と体力に感嘆せざるをえません。

如来寺には穆山禅師の賛がしてある、観音像があります。

賛に曰。

あしき人見るたび毎に啼く菩薩

よき人になれよき人になれ





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曹洞宗

福聚山 大慈寺

住所:八戸市長者1丁目6−59

電話番号:0178-22-1856